2025.03.26

法面緑化だけじゃなく、社員の「やってみたい」で楽しいSDGs達成を|ロンタイの戻り苗活用事例

NEWS

導入事例

購入者が苗木を育て、山に植林することで、誰でも山づくりに参加できる新しいカタチの観葉植物「MODRINAE(以下、戻り苗)」。

今回は、そんな戻り苗を活用し、森林保全に取り組むロンタイ株式会社様の事例をご紹介します。

 

「法面緑化」というSDGsにも直結する事業を展開されているロンタイ様。社内からの発案で「やりたい」と思うことを採用していく形でSDGsの取り組みを広げられる中で、戻り苗を導入いただきました。今は、全国10拠点・11部署で戻り苗を育てていただいています。今回は、その背景や、実際育ててみた感想を、仙台支店 営業事務の清塚さん・関東支店 営業 兼SDGs運用チームの奥田さん・広島工場 工場長の秋山さんにお話しをお聞きしました。

 

画像
左から、清塚さん・奥田さん・秋山さん

 

なにより「楽しめる」ことを大事にされているロンタイ様の雰囲気が伝わってくるような、こちらまで楽しくなるような内容になっています。ぜひご覧ください。

 

ロンタイ様について
わたしたちロンタイ株式会社は、「人を守る緑を創る」という想いを胸に、創業以来一貫して法面緑化に向き合ってきた、緑化資材メーカーです。植生シート、植生マット、植生土のうなど、様々な法面緑化資材を、65年以上にわたり製造してまいりました。
参考:ロンタイ株式会社 公式HP

 

「国内緑化総面積1億㎡」を目指す、ロンタイのSDGs宣言

 

ー ロンタイ様は2022年に「SDGs宣言」をされていらっしゃいますが、どのような目標を掲げて取り組まれているのでしょうか。

 

奥田さん:
私たちがおこなっている「法面緑化」は、道路や宅地の造成時や、災害により崩れて露出した土の斜面、いわゆる法面を、植物による緑化で保護する工法のことです。災害後の復旧だけでなく、防災や減災にも大きな関係があります。

 

当社はそもそも、事業内容がSDGsに直結していたりもするのですが、宣言後は、法面緑化をより社会貢献に繋げるため、SDGs達成に向けた一番大きな目標として、2022年から2030年までの間に、国内緑化総面積1億㎡を達成することを目指してきました。

 

画像
2025年2月時点では、2243万m2を達成

 

また、メーカーとして全国に工場がありますので、緑化、侵食防止等の品質に影響のない範囲で、製造時の廃棄物の削減にも取り組んでいます。

 

ー「 国内緑化総面積1億㎡」という大きな目標を目指されながら、様々な取り組みをされていらっしゃるようですが、どのような体制で取り組まれているのでしょうか。

 

奥田さん:社内でSDGs運用チームを発足させ、社内での取り組みのまとめ役をしていますただ、チームが主導しているわけではありません。

 

大きな目標は先ほどお話した緑化面積という数値目標になりますが、SDGsの取り組みとしてはSDGs運用チームが主体的に何かをやるのではなく、社員全員が自分事として考え、やりたいと思った取り組みを社内に発案できる、そしてそれをSDGs運用チームがサポートするという環境を作れるよう、意識して取り組んでいます。

 

画像
ロンタイ様の公式HPでは、様々な取り組みのレポートが掲載されています

 

ー だからこのように様々な切り口の取り組みをされていらっしゃるのですね!

 

奥田さん:
そうなんです。「戻り苗」も、私が展示会でソマノベースさんに出会って「やりたい!」と社内に提案した取り組みでした。SDGs達成に向けた取り組みも、楽しめる仕組みをつくることで継続させていきたいので、他の社員からもワクワクするような提案がしやすいようになればよいと思っています。

 

最近では、「SDGs達成に向けてこれをしたい」という声はもちろんのこと、もっと手前の状態で「こんなことやりたい」という声をいただき、「それってSDGs達成につながるからぜひやってみようよ」と話が進むこともありますね。

 

「戻り苗」を通して、SDGsをもっと楽しく身近なものに。

 

ー 戻り苗は奥田さんが発起人となり社内に提案してくださったとのことですが、どのような点に興味を持っていただいたのでしょうか。

 

奥田さん:
展示会で、たまたまソマノベースの奥川社長の講演を聞いたんです。当社の製品は、森林で使用いただくこともありますが、講演で日本の森林や林業の現状を知ることができ、ただ緑化資材を販売することが目標になりかけていた自分が、緑化したその先を深く考えるきっかけになったんです。講演後に思わず奥川さんに話しかけに行ったのを今でも覚えています(笑)

 

その時ちょうど会社では、SDGs宣言をして社内一丸となって取り組んでいく方針でした。ですが、強制的に何かさせるということはしたくないというのがチームの方針でした。戻り苗を社内で育てれば、楽しく身近に、みんなでSDGsを考えるきっかけができるのでは…と思い、社内に提案をしたところ、「やってみよう!」と話がまとまりました。

 

ー 今や全国で10拠点で戻り苗を育てていただいていて、お声かけてくださったことに頭が上がりません(笑)最初は1つの戻り苗を育てることから始められましたが、どのように広められたのでしょうか。

 

奥田さん:
最初は本社の総務課で育ててみたんです。その後、社内で希望者を募ってみようということになり、奥川さんにセミナーの実施をお願いしました。セミナーでは森林や林業の課題や戻り苗がどのようにSDGs達成につながるかについてお話しいただいたんです。その上で、戻り苗に参加したい部署を募集しました。

 

画像
セミナーにはオンラインからもご参加いただきました

 

普段の業務では、営業部門と生産部門など分かれて動くことが多いですが、戻り苗の希望者は全国の工場・支店・営業所を含む全部署から募集しました。また、鉢にはその拠点オリジナルのデザインを印刷してもらえるように、希望デザインもあわせて募集しました。社内で統一したデザインの方が良いのかな…とも思ったのですが、完成した鉢を眺めていると、各拠点の個性が出ていて、今はそれが良いなとも思っています(笑)

 

画像
画像

 

ー 清塚さんと秋山さんはその時に参加をご希望いただいたとのことですが、どのような思いでご参加いただいたのでしょうか。

 

清塚さん:
すごくシンプルで、「どんぐりって面白いな」と思ったんです。支店のみんなに聞いたら「やってみようよ」という声が多かったので、参加を決めました。

 

秋山さん:
自分たちが植物を育てることにあまり馴染みがありませんでした。工場のみんなに聞いたときも「毎日面倒見られるのか」「大変なんじゃないか」という声もあがったんです。

でも、僕はなんとなく「やってみたらおもろいかもしれんじゃない」って思ったんですよね(笑)なので、みんなができないところは自分がやるという前提で、とりあえずやってみることにしました。

そしたらなんと、僕がはまっちゃって(笑)今では自分個人の戻り苗と、広島工場の戻り苗の2つを育てています。

 

画像
楽しそうに苗木を紹介する秋山さん

「戻り苗」で、部署を超えたコミュニケーションも。

 

清塚さん:
最初に開封したのが私だったので、その流れで私が戻り苗のお世話を担当するようになりました。あまり植物を育てることがなかったので、色々と心配になって、その都度ソマノベースさんに聞いて…とお世話するのが、いつの間にか日課になってますね(笑)

 

画像
今では育苗が日課になったと話す清塚さん

 

秋山さん:
僕ももともと植物を育てることにあまり興味がなかったので、「こんな感じいいのかな」とおっかなびっくりで水やりを始めました(笑)最初は発芽しなかったんですが、新しいどんぐりをいただいて再挑戦したら発芽しましたね。

 

僕も、今では戻り苗のお世話はもう日課になりました。出勤した時に「おはよう」って気持ちで霧吹きで水をかけてあげて、昼にも「調子どう」って水吹きかけて、帰る時に「おつかれ」って水吹きかけて…休みの日にも気になって見にきちゃうほどです(笑)

 

ー 秋山さんは株分をしたり給水装置を試作されたりされていますよね(笑)前は植物育てたことなかったというのが本当に信じられません(笑)

 

秋山さん:
そうですね、色々試行錯誤しています。戻り苗では株分けせずに間引きを推奨されていますが、どうしても残したくて…ペットボトルでコンテナを作って株分けしましたね。

 

僕もなんでこうなったんだろう、と思ってますよ(笑)でも、最終的に植林されるというのがなんだかとても楽しみなんです。だから、「やらなきゃ」という気持ちじゃなくて、純粋に楽しくやってます。

 

ー そのようなノウハウとかって社内でシェアされていらっしゃるのでしょうか。

 

奥田さん:
社内のTeamsでグループチャットを作って、みんなで苗木の状態を報告したり、お悩み相談をしたりしているのですが、想定以上の盛り上がりを見せています(笑)

 

画像
グループチャットの様子

 

清塚さん:
それこそ、秋山さんが「こうなんじゃないかな」ってアドバイスくれることもあります(笑)私もよく育て方で悩むので、チャットをよく見るようにしています。

 

秋山さん:
「こうなんじゃない」ってつぶやいているだけなんですが、役立っていたらうれしいですね(笑)

 

奥田さん:
私たちは部署や居場所が違うので、実はあまり会ったことがありません。きっと戻り苗がなかったらこうやって話すこともなかったでしょう。戻り苗を通して、部署が違うメンバーとも繋がれたのは嬉しいですし、楽しいですね。

 

ー 戻り苗が架け橋になっていると、嬉しいですね。今年の秋、ついに植林ですが…さみしいですか?(笑)

 

秋山さん:
そりゃもう、さみしいですよ。また新しい苗木を育てればいい話ではありますが、そうゆうことじゃないんですよね。

 

清塚さん:
私は不安ですね。まだ苗木が小さいので、植林まで元気でいてくれるか…あとは、心配です(笑)森にかえった後、ちゃんと大きくなるかな…なんて思っちゃいます。

 

奥田さん:
あっという間に2年経ちそうだな…と思います。想像するとやっぱり、さみしいですね。まだ構想段階ですが、参加している社員からも植林まで参加したいという声も多いので、山に返す時にはみんなで植林することも検討したいと思っています。

 

画像
奥田さんは植樹祭にもさんかいただきました

SDGsの輪をさらに大きく。部署や会社を超えた繋がりを促進。

 

ー 戻り苗を通して、何か意識が変わったことはありますか。

 

秋山さん:
木工会社さんとたまたま知り合いになりまして…廃材の活用方に困っていたんですよね。それを聞いて「これもSDGsだよな」と思いまして、廃材を活用して看板を作ったり、ノベルティを作ったりしてます。

 

奥田さん:
世の中のSDGsの取り組みによく気づくようになりました。社会全体でやることなんだ、と理解が深まりましたし、自分もその一員になれているような感覚があります。

 

清塚さん:
スーパーとかモールとかで、SDGsのマークが目に入るようになりました。影響を感じますね。

 

ー 今後はSDGs全体として、どのような取り組みに発展されたいですか。

 

奥田さん:
今よりさらに社員全員で楽しみながら進めていけると良いなあと考えています。

前まで、「SDGsってすごく難しいことで悪い意味でちゃんとしないといけない!」という凝り固まった考えだったんです。ですが、戻り苗やソマノベースさんとつながりができてからは「もっと気軽に楽しんでやっていいものだ」と気付けましたし、それを社内全体に広げていけたらいいなと思います。

また、ソマノベースさんとやり取りさせていただいた以降、SDGsの取り組みで他業種の会社さんと積極的に関わる機会が増えているように感じています。現在進行中なものとして、サッカークラブであるモンテディオ山形さんのSDGsサポーターになり、昨年試合時にスタジアムでSDGsイベントをおこない、今年も開催する予定です。

取り組みを進めるごとに、新たな会社さんからお声がけをいただいたり、SDGsの輪が広がっていっていることを体感しています。今後も、社員一丸となって取り組みを進め、得たことを通常業務に活かせる部分は活かしていきたいと思っています。SDGsチームがそれを後押しできる環境でありたいと思います。

 

ー 「法面緑化」という観点でも、ロンタイ様の社員様はいろんなノウハウをお持ちなんだろうな…と思っています。ぜひ、ソマノベースとしても色々なお取り組みをご一緒させていただけたら嬉しいです!お話しを聞かせていただき、ありがとうございました。

 


戻り苗は、「土砂災害による人的被害をゼロにする」を目指すソマノベースが運営しています。

戻り苗以外にも、様々な形で森との関わり方をコーディネートしていますので、興味をお持ちいただいた方はぜひお気軽にご連絡ください。(問い合わせ先:info@somanobase.com)

最後までお読みくださり、ありがとうございました!