2026.02.28

【vol.9 / イベントレポート】「大手だから」できるではない。LINEヤフーが本気で挑む、泥臭い「森づくり」の裏側〜事業貢献につなげる、多様な森林活用の現在地〜

「大手だからできる」というわけではない——LINEヤフー社も現場に足を運び、泥臭くパートナーと向き合いながら森づくりを進めています。IT企業がなぜ「森づくり」に取り組むのか。社内承認の突破口から現場の手応えまで、サステナビリティ推進担当の小南様にリアルな声を語っていただきました。

このレポートで分かること

  • IT企業が森林・自然資本に関わる「短期・中長期」それぞれの理由とロジック
  • LINEヤフーが取り組む3つの森づくり活動の具体的な内容
  • 社内承認の突破口となった「方向感の先出し」戦略
  • 社員の巻き込み方と、熱量を維持するための工夫

開催概要

開催日時:2026年2月19日(オンライン開催・参加費無料)

ゲスト:小南 様(LINEヤフー株式会社 サステナビリティ推進CBU ESGユニット 環境ディビジョン)

モデレーター:松下 登志朗(株式会社ソマノベース 法人事業部)

森に投資する理由——短期と中長期で使い分ける

気候変動対策への対応が企業に一層求められる中、一見炭素を排出していないように見えるIT企業でも、データセンターでの電力利用は大きく、気候変動対策が求められています。LINEヤフーの小南様が率直に語ったのは、「なぜそれをやる必要があるのか」という社内の声と、その壁を乗り越えてきたプロセスでした。

短期:目標達成とステークホルダー対応

まず社内で通用する理由が必要だと小南様は言います。LINEヤフーでは「2025年/2030年カーボンニュートラル」という会社全体の目標を先に宣言したことが突破口に。CDP・ESG評価機関・投資家からの要請から「自社もこの姿勢を示す必要がある」という議論の土台を固め、個別施策の承認へとつなげていきました。

中長期:水資源・事業継続性・従業員育成

一方で本当に語りたいのは中長期の話だと小南様は強調します。データセンターの冷却・加湿に大量の水を使うIT企業として、10年・20年後の水資源の安定調達への備えを今から進めること。そして、こうした活動に関わった従業員から新たなプロダクトやサービスが生まれていく状態が「目指したい最高のゴール」だといいます。

LINEヤフーが行う様々な森づくり活動

LINEヤフーが現在取り組む森づくり活動は、クレジット購入にとどまらず、地域との深いつながりを生み出すものです。

1. 田島山業との契約締結(大分県)

大分・福岡の2地域にまたがるエリアに広大な森を持つ民間林業家・田島山業と、10年間・1,500トンのクレジット取引を締結(2024年2月発表)。単なるクレジット購入ではなく、ソマノベースの「戻り苗」を活用した植樹体験や、バイオームアプリを使った生物多様性調査など、社員が実際に森に関わる機会をともに作っています。

2. 尾鷲市との契約締結(三重県)

企業版ふるさと納税を活用した合計約5,700万円の寄付を機に関係を深めました。「しがら作り」(木の枝と落ち葉で流水ノリ面を組んで土留めし、水の流れを緩やかにしてノリ面などを保護する伝統的な技法)を社員と一緒に体験。半年以内にアカハライモリが戻ってくるなど、生態系の回復を肌で感じる活動を続けています。

3. 森林組合との連携による水資源保全(福岡・福島)

2025年2月、データセンター立地の流域を管理する2つの森林組合と提携協定を発表。福岡県広域森林組合では鹿の獣害対策を支援、西白河地方森林組合では使い道のなかった間伐材を地域のバイオマス発電所チップ材として活用する仕組みを構築しています。

「買って終わり」を、「関わり続ける理由」に変える

社員の巻き込みについて、小南様はこう語ります。

・地域ごとに「キーマン」を見つけ、その人経由で拠点全体へ広げていく

・ソマノベース・バイオームなど外部パートナーとともに「楽しい体験」を設計する

・いきなり参加人数の「面積」を求めず、まず熱量の高いファンを「じわじわ」増やす

「来るまでは腰が重かった社員が、終わったら『経営陣こそこれをやるべき』と書いてくる。そういう感触は得ています」

参加者Q&Aから——当日、一番盛り上がった質問

当日は多くの質問が寄せられました。ここでは3つをご紹介します。

Q1. 社内承認のプロセスと予算確保のロジックは?

まず「2025年/2030年カーボンニュートラル」という全社目標を先に宣言したことが突破口に。個別施策を一発で通そうとするのではなく、先に大きな方向感を外に出してしまうことで、「言ったからにはやるしかない」状況を作ることが重要だったと語りました。

Q2. 社内浸透・熱量の維持をどうしているか?

各地域拠点の「キーマン」に最初に声をかけ、拠点ごとに根を張ることを優先。ソマノベースやバイオームなどパートナーとともに現場体験を設計し、参加者が普段会えない専門家と自然に会話できる場を作ることで、じわじわとファンを増やしています。

Q3. 活動を通じて感じた手応えと「腹落ち」したポイントは?

「本当の腹落ちは中長期の効果が見えた時」としながら、短期の手応えとしては、森を訪れた社員のアンケート満足度が非常に高いことを挙げました。将来的には、サステナビリティ意識の高い従業員から新たなプロダクトが生まれる状態を目指し、中長期の目線で焦らず進めていくといいます。

Webinar by キミッツカレッジとは

「森に関わるためのKnowledgeをOpenにしよう。」をコンセプトに、より多くの方が森と関わるきっかけを得られるよう開催している無料ウェビナーです。脱炭素やネイチャーポジティブが注目される一方で、企業がいざ森林に関わろうとすると「専門的すぎる」「何から始めればいいか分からない」といった壁に直面しがちです。本ウェビナーでは、実際に一歩を踏み出している企業様や現場を支える専門家をお招きし、「企業の視点」と「現場の視点」の双方から、調べてもなかなか得られない「リアルな声」をお届けしています。これから森に関わりたい方、活動をアップデートしたい企業様にとって、新たな一歩を踏み出すきっかけとなることを目指しています。

ウェビナー・イベントの最新情報はこちらから:https://somanocollege.peatix.com/

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