2025.03.12

【導入事例】75年続くプラントを支える金属品加工メーカーが目指す、地域や人との “共存共栄”な安全衛生と森林保全

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導入事例

購入者が苗木を育て、山に植林することで、誰でも山づくりに参加できる新しいカタチの観葉植物「MODRINAE(以下、戻り苗)」。

 

今回は、そんな戻り苗を活用し、森林保全に取り組む池田鉄工株式会社様の事例をご紹介します。池田鉄工様は創業1950年の金属加工メーカー。創業から製品・サービスの品質に加え、「安全衛生」に注力し事業を発展されてきました。その中で、戻り苗にも取り組んでいただいています。「安全衛生と森林保全、何の関係があるの?」なんて声が聞こえてきそうです。私も最初はそう思いました…が、関係大ありです!どのような関係があるのか、安全衛生を大事にされている池田鉄工様がどのように戻り苗に取り組んでいただいているのか、お話をお伺いしました。

 

 

創業時から変わらない、安全衛生へのこだわり

 

ー まずは池田鉄工様について、お教えください。

 

池田鉄工は、1950年創業の金属品加工メーカーです。原料・製品を移送する配管や、プラントに欠かせない貯槽や反応槽、鋼構造物の設計・製作、現地への設置、さらに保全工事までの一貫施工を得意としています。

 

ー 1950年!とても歴史が長いですね。

 

そうですね、2025年で創業75年目になります。創業者である池田幸三は、若干20歳にして今の池田鉄工の元である鉄工業池田組を創業しました。当時は今のように便利な時代でもないので、毎日工場の前で出待ちなどをして、なんとか営業のお時間をいただいていたと聞きます。

その頃ご縁をいただいたのが、旧称花王石鹸(株)和歌山工場様です。そこからも、様々なメーカー様のプラント建設工事に携わってきました。

 

ー まさに若手実業家の先駆けというところでしょうか。20歳の自分を思い出すと、想像もつきません…。どこかロマンを感じてしまいます(笑)長い歴史をお持ちの中で、変わらない文化はありますか。

 

安全衛生へのこだわりは、一貫して大事にしてきました。

創業者の池田幸三は、開業前は呉の軍需工場で働いていました。当時1945年、15歳の時です。自ら志願したと聞いています。当時は戦時中ですから、危険な場面も多くあったようです。その経験から、安全な環境で安全に働くことへの意識が強かったと聞いています。

開業したのが1950年。つまり、労働安全衛生法が施行される昭和47年より、20年以上前から安全衛生に取り組んでいたことになります。施行により社会的に見直された時には、より一層取り組みに力を入れました。また、和歌山県の労働基準協会で安全衛生部門の部会長を長年務め、その知見を活かして地域と安全衛生の取り組みを深めてきました。

 

ー 最近は問われるようになりましたが、開業当初から…つまり75年ほど継続されていらっしゃるというのが素晴らしいですね。安全衛生へはどのように取り組まれてきたのでしょうか。

 

たとえば、安全衛生・倫理教育を継続的に実施したり、安全衛生防災・環境に関する個人目標設定をして発表会を行ったり…中央災害防止協会から講師を招き危険予知訓練の教育を実施したこともありました。基本的なものを含めて継続することを重視しています。

結果として、厚生労働大臣より衛生管理活動に対する努力賞や優良賞いただくなど、これまでに三度の大臣表彰を受賞しました。

もちろん、賞を取ることが目的では決してありません。「安全に入学あれども、卒業なし」とよくいうように、長年続けてきたことをこれからも続けながら更に深めていきたいと思います。

 

 

「戻り苗」で、地域や人との “共存共栄” を促進。

 

ー 池田鉄工さんは地域の環境への取り組みも積極的にされていると伺いましたが、安全衛生へのこだわりとも通ずるところがあるのでしょうか。

 

事業というものは、地域と共存共栄し、人がいないと育たないものです。

当社は、働く人の安全の確保と働きやすい環境の整備が品質の向上や取引先からの信頼につながるということだけでなく、地域社会の一員としての責任を果たしたいと考えています。

安全衛生の取り組みと地域環境への取り組みに共通する部分については、工場内外での整理整頓や安全意識の向上が、工場周辺の環境整備にもつながり、結果として地域社会への貢献になります。

また、近隣の河川清掃活動への参加や工場周辺の定期美化活動を継続しています。私たちの業種は直接一般の消費者の方と関わることは少ないですが、今後も地域とのつながりを大切にしていきたいと考えています。

そのほかの環境に関する取り組みはこちら:
http://www.ikeda-net.co.jp/img/kankyohoushin202501.pdf

 

ー 地域を守ることは安全衛生の一貫ということですね。その中で戻り苗をご導入いただきましたが、きっかけはどのようなことだったのでしょうか。

 

和歌山県内の経営者協会に参加した際に、ソマノベースさんに出会ったのがきっかけです。代表 奥川さんの、地元の土砂災害で被災され、防災・林業の業界に飛び込んだという話は今も覚えています。私たちも同じ和歌山県で創業し、今も拠点を置いています。やはり、共感するところがありました。

 

2011年9月に発生した紀伊半島大水害の様子 提供:国土交通省近畿地方整備局

 

今まで私たちも、SDGsやサステナビリティに向けて様々な取り組みをしてきましたが、事業は地域と共存共栄であり、人がいてこそのもの、と改めて立ち返ってみると、もっと直接的に全員で取り組めるものがあっても良いと思ったんです。そこで、戻り苗の導入を決めました。

 

ー ご導入いただく際、従業員の皆様の反応はいかがでしたか。

 

「なにか始まるんだな」というような反応でした(笑)

SDGs・サステナビリティの言葉はTV等でよく耳にするので知ってはいるものの、そういったことに取り組むことの大切さについて社内に浸透できていなかったんです。そのため、森林課題に取り組むことや、苗木を育てることに対しても少しハードルの高さを感じていた従業員もいたように思います。

そこで、まずはソマノベースさんに「SDGsとはなにか」という内容を含めたセミナーをしていただくことから始めました。

 

セミナーの様子

 

その後、部署や工場ごとで苗木を育てはじめました。初めての取り組みですし、苗木も自然のものなので全てがうまく育つわけではありません。ですが、試行錯誤しながらも、苗木を通した会話や競争心のようなものも芽生えたようで、良いコミュニケーションツールにもなりましたね。

 

部署ごとの戻り苗

 

植林にも参加させていただきました。植林の中では、若手の林業家さんにサポートいただいたのですが、中々直接お話したこともなかったので、今まで知らなかった林業の様子や森林の話には興味を持っているメンバーもいました。

 

植林の様子

 

ー セミナーから植林まで一貫してお取り組みいただくことを希望いただいていましたが、それはどのような理由からだったのでしょうか。

 

セミナーで取り組みの意義を学びましたが、やはり座学だけでは理解しきれない部分もあります。実際に自分たちで現場を見て、植えることで、育てた意義の理解を深めることができると考えていたからです。

 

植林の様子

 

実際に植林に参加してみると、皆伐地という普段は足を踏み入れないような林業の現場へ行き、そこで自分たちが育てた苗木を植えるという体験は、私たちにとって印象的な経験になったと感じています。

 

ー 植林会は、社員旅行もかねていらっしゃったと伺いました。

 

そうですね、コロナの影響で近年実施できていなかった社員旅行もかねて、レクリエーションも行いたいと考えていたんです。そこで、森林を軸に楽しみながら学べるコンテンツにすることにこだわりました。

 

本宮大社にも。

 

紀州備長炭の原木となるウバメガシの苗木を育てていたこともあり、食事の際には、紀州備長炭を使ったBBQも実施しました。

 

BBQで使用した紀州備長炭

 

樹種に対しての意義を感じてもらうための、池田鉄工様としての工夫でしたね。このように、セミナーから植林まで一貫してお取り組みいただき、社内での変化はありましたか?

 

そのようなステップを組んだことで、「なぜ必要があるのか」ということの理解を少しずつ深めていけたと思っています。日々の業務の中では、自然や地域への貢献を意識するのは中々難しいものです。なので、今回の取り組みを通じて知見を深め、企業としての社会的責任を果たすことの重要性について考える機会になったと思っています。

 

また、今後もこれまでにご愛顧いただいている顧客様の事業活動を全力でサポートするとともに、和歌山の地場産業である化学品製造に携わる地元企業様への協力を通じて、地域に貢献していきたいと考えています。

 

地域で地域を守る、これからの安全衛生

 

ー これからどのような取り組みを発展させたいですか。

 

今回は、セミナー・育苗・植林を社内のみで実施しました。結果、社内でも理解が深まった人がいたり、林業や森林保全に興味を持つ人がいたりと、良い効果があったと思っています。一方で、先日ソマノベースさんが開催されていた「合同植樹祭」をみて、もっと地域とつながっていきたいと感じました。

全国から企業・自治体が和歌山に集結し、「植える」だけじゃない植樹イベントに参加 株式会社ソマノベースのプレスリリース(2025年1月15日 11時00分)全国から企業・自治体が和歌山に集結し、「植える」 prtimes.jp

 

ー 戻り苗を通して、和歌山県の中でともに取り組ませていただいている企業様が増えてきました。ぜひ互いに刺激しあい、協力しあうようなコミュニティづくりをご一緒させていただきたいです!お話をお聞かせくださり、ありがとうございました。

 


 

戻り苗は、「土砂災害による人的被害をゼロにする」を目指すソマノベースが運営しています。戻り苗以外にも、様々な形で森との関わり方をコーディネートしていますので、興味をお持ちいただいた方はぜひお気軽にご連絡ください。(問い合わせ先:info@somanobase.com)

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました!